ABOUT 象の鼻テラスについて
新たな「文化交易」の拠点へ
象の鼻テラスは、横浜市・開港150周年事業として、2009年6月2日に開館しました。
横浜港発祥の地を、横浜の歴史と未来をつなぐ象徴的な空間として整備した象の鼻パーク内に建つアートスペースとカフェを併設したレストハウス(休憩所)であり、横浜市の都市ビジョン「文化芸術創造都市」を推進する文化観光交流拠点の一つです。
開港当時から異文化と日本文化がこの土地で出会ってきたように、象の鼻テラスは、さまざまな人や文化が出会い、つながり、新たな文化を生む場所を目指し、アート、パフォーミングアーツ、音楽など多ジャンルの文化プログラムを随時開催しています。併設した象の鼻カフェでは、文化プログラムに連動したメニューの提供などを行っています。
常設作品
象の鼻の歴史
横浜港発祥の地・象の鼻
現在、象の鼻パークと呼ばれている場所は、1854年3月31日、アメリカ合衆国のペリー提督が2度目の来日で初めて横浜に上陸した場所です。1859年、日米修好通商条約により横浜が5つの開港場の一つに指定されて以降、この地区は横浜で最初の本格的な波止場となり、諸外国との活発な貿易、交易の舞台となりました。「象の鼻」の名称は、時代と共に少しずつ形を変えてきた堤防の形状が、象の鼻に似ていたことに由来しています。
現在の象の鼻パークの堤防は、関東大震災でその大部分が沈んでしまった明治中期の堤防の形状を復元したものです。象の鼻パーク内には、こうした歴史を紹介する展示も各所に設けられています。
1852
Matthew C. Perry
象の鼻テラスの建築
象の鼻地区(象の鼻テラス、パーク)を設計したのは、建築家小泉雅生です。
「みなと横浜の原点を可視化する」をコンセプトに、水辺や夜景を楽しむ場として、象の鼻パークが整備されました。明治期の姿に復元された“象の鼻防波堤”、日本大通りから港への通景空間を確保した“開港波止場”、港や海を見渡す緑の”開港の丘”から成るオープンスペースです。パーク内に配置されたスクリーンパネルは、夜になると時間帯によって色を変え、光のサークルを形成します。
象の鼻テラスは、開港の丘に位置し、横浜三塔などのランドマークへの景観を阻害しないように設計され、ランドスケープと一体化した半分地面に埋もれたような建物です。芝生を一枚めくると文化芸術活動が見えてくる、歴史を積み重ねてきた土地ならではの情報発信を目指しています。
2009年UD(アーバンデザイン)賞 まちなみ部門
2010年神奈川建築コンクール 優秀賞
2012年AACA賞優秀賞
2016年環境・設備デザイン賞最優秀賞
また、横浜市、株式会社ワコールアートセンター、日本大通り活性化委員会は2010年都市景観大賞「都市空間部門」大賞を受賞している。
建築仕様
延床面積:604.04m²
構造:S-1/0
天井高:2.2–5.13m
外部仕上げ:RC打ち放し、小松石積み、レンガタイル
竣工:2009年5月
小泉雅生 / Masao Koizumi
建築家、小泉アトリエ、東京都立大学大学院教授。学校建築、ホール、環境配慮建築を主軸に、住宅から公共建築、広場、まちづくりまで幅広く手がける。横浜での主要作品として、「象の鼻パーク/テラス」(2009)、「黄金町高架下新スタジオ Site-D」(2011)、「港南区総合庁舎」(2017)、「横浜市寿町健康福祉交流センター/市営住宅」(2019)など。著書に『LCCM住宅の設計手法』、『パブリック空間の本』、『住宅設計と環境デザイン』、『クリマデザイン‐新しい環境文化のかたち』、『環境建築私論』などがある。
コーポレートデザイン
象の鼻テラスのコーポレートデザインは、so+baが手掛けています。
黒と白のブロックにより構成されたロゴは、象の鼻テラスが一貫したブランディングの下、今後様々なプロジェクトを展開する時にモジュールを追加できるようになっています。また、文化交易の拠点であった横浜港に位置することから、到着と出発を同時に表した矢印、そして白・黒、英語・日本語にて対となるものが交えることを表現しています。
so+ba
スイス出身の Susanna Baer(スザンナ・ベアー)と Alex Sonderegger(アレックス・ソンダーレッガー)によるデザインユニット。2001年、東京でデザインスタジオ「so+ba」を設立。スイスと日本でグラフィックデザインと広告の経験があり、2つの非常に異なる文化をよく理解しているため、異文化コミュニケーションは、so+baの強みであり重要な要素のひとつです。 グラフィック デザイン、アート ディレクション、サウンド ビジュアライゼーション、タイポグラフィーとデザインの教育などの分野で精力的に活動しています。
アートディレクターからのメッセージ
象の鼻テラスは、開港150周年という節目に際し、新たな創造と発信を行う「文化交易」の拠点として2009年に開館しました。
ここ象の鼻パークは横浜発祥の地として、世界の様々な文化と出会い、真に日本の近代化が始まった場所です。現在、そのエッセンスは横浜の創造的なまちづくりの姿勢に引き継がれ、象の鼻テラスは創造界隈拠点の一つとしてこのユニークなまちづくり実現のエンジンとして活動を続けています。
アートの創造性がまちづくりに効果を発揮するという信念のもと、アーティストとともに、まちの新たな可能性について様々なアプローチで活動を行なう中で、アーティストたちの発想、表現は、いつも私たちを刺激し、横浜というまちの新たな可能性への気づきをもたらしてくれます。
私たちはこうしたアーティスト、クリエーターと市民の創造力を深く信頼し、横浜、日本、そして世界のより良き未来のために、これからも新たな価値創造に挑戦して参ります。
引き続き皆様のご理解、ご支援をお願い申し上げます。
2023年6月
象の鼻テラス アートディレクター 岡田勉